ROIC、ROE、ROAなんてよく聞くけど一体これは何のこと?
今回はROIC、ROE、ROAの違いと特徴をできる限りわかりやすく説明したいと思います。
数字が苦手!なんて方にも自分で計算せずにこれらの大事な財務指数を確認できるサイトもご紹介いたします。
さて、ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益)、ROA(総資産利益率)は全て企業に利回り、つまり稼ぐ力を表す財務指数です。
ROIC特には投資の神ウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガー、フィル・タウンなどのバリュー投資家が企業価値を見極める時に愛用する財務指標です。
1000ドルを5年間で100万ドルに増やしたされる米国の有名投資家のフィル・タウン(Phil Town)はROICこそが数ある財務指標のなかで一番大事だと断言しています
それぞれ計算法と特徴が異なりますでご紹介していきます。
少し難しくなるところもありますが、安易な例でもわかりやすく説明します。
まず最初にROEは英語でReturn on Equity 。
自己資本でどれだけ利益を効率良く得られるかを測定する財務指標です。
計算方法は:
Return on Equity = 当期純利益 Net Income ÷ 自己資本 Equity
例えば:
となります。この場合、A株の方が優良企業だと言えます。
ポイントはROEは
いきなり。。。ちょっと難しいですよね。
簡単な例で考えて見ましょう。
例えば、A社、B社にどちらも100万の自己資本があるとします。
一年後にその100万で:
を得ます。この場合、B社の方がA社より稼ぐ力を持っていますよね。これをパーセントで表すのがROEです。
計算すると:
ROEが高いほど、能力が高い成長株だと言えます。
では次にROICは何が違うのでしょうか?
ROICもROE同様に稼ぐ力をパーセントで表します。
ROICは企業が事業活動のために投じた資本に対してどれぐらい効率的に利益を出せたかを示す経営指標です。
計算方法は:
ROIC= 税引後の営業利益 (Net Operating Profit After Taxes) ÷ 投下資本 (debt + equity = invested capital)
例えば:
ROEと同じく、ROICは:
ん。。。ROEと同じに聞こえるけど。。。何が違うの?
ここでのポイントは、投下資本(invested capital)です。投下資本とは、自己資本+有利子負債(debt)となります。
つまり、ROICは、ROEと異なり、特徴が負債も含む計算となります。
また簡単な例で考えてみましょう。
わかりやすく説明するために極端な例であることはご了承ください (本当は純利益でなく、税引き後の営業利益などを使用するのですが、今回はその部分は単純に利益で例えています)
A社は、株主から100万(自己資本)で10万の利益を得ます。
B社は、株主から50万(自己資本)を持っていますが、資金を増やすためにそれ以外にも50万銀行からローンします。その合計100万円で10万の利益を得ます。
この場合、ROEはこのようになります。
あれ、どちらの会社も100万円の資金で10万の儲けを出したのにB社の方がROEが高いと思った方は、鋭いです。
そうです。
ROEは負債分を計算に入れないので、ローンがあるB社の方が結果として、ROEがA社より高くなります。でも実際、稼ぐ力は同等ですよね。
つまりROEだけで判断すると誤った判断をしてしまうことがあります。
では、ROICはどうでしょうか?
ローン金額も計算されますのでどちらも10%になります。
ポイントはROEのデメリットは簡単に操作できることなのです。会社がROEを操作したい場合は、銀行からお金を借入れしたり、自主株買いをすることにより株主資本が減少し、結果としてはROEも上昇します。でもROICはそれらのデメリットはありません。
ちなみにROICは時々ROC%として表記されていることもあります。
ではROAって何でしょうか?
詳しい方はご存知かもしれませんが、ROIC似ています。
ROA(Return on Asset)はこのように計算されます。
ROA = 当期純利益 (net income) ÷ 総資産 (total assets)
まずROICは税引き後営業利益を使うのに対してROAが当期純利益(最終利益)します。
そのほか最大の特徴は、ROAは総資産を使って計算されます。
計算式の分母をROICと比べると:
一言でまとめるとROAは総資産に対する利益の大きさを示します。
んんん。。。これまた、難しいですね。
要するにビジネスで利益を得るため以外にも資産を持っていることが多くあります。
ROAはそれらの全ての資産を計算に入れます。でもROICはそれを計算に取り入れません。
先ほどと同様に、
A社は、株主から100万(自己資本・株式資本)で10万の利益を得ます。
B社は、株主から50万(自己資本・株式資本)、そして、別に50万銀行から事業用にローンをします。 その合計100万円で10万の利益を得ます。
ここまでは先ほどのROICを説明した例と同じです。
ここで新たにC社も見てみましょう。C社は、B社と同じですが一点だけ異なります。C社は50万円ほど事業には関係ないお金をキャッシュとして蓄えています。
これがROAに影響を与えます。C社の投下資本は100万円ですが総資産は150万円になります。
ROE、ROA、ROICを見てみましょう。
ROE
ROIC
ROA
ROA計算の欠点は稼ぐために使用されていない資産も含んでしまいますので稼ぐ力の視点から見るとROICと違いが出てしまいます。
先ほど同様にROE、ROA、ROICを説明するためにあくまでも大まかな説明をするための安易な例であることをご了承ください。実際の計算はもっと複雑なものになります。
上記の例から見ると、ROEとROAの欠点と特徴が確認できます。
ポイントは、どの会社も実際は100万円を使って事業を行い10万円の利益を出したのにROE、ROAは平等なパーセントを見だしていません。
それに比べるとROICはこの二つの欠点がありません。
じゃROE、ROAはダメなの?って訳ではありません。ROE、ROAはそれぞれ役立つ指標であります。
あくまでも投資家視点で長期的に会社の稼ぐ力を測るならROICが優秀だということです。
ROICが企業の経営が持っている軍資金に対してどれほど効率よく稼げるのか一番バランスよく示す財務指標だと言えます。
ROEとROICを比べるとその企業の負債状況少しがわかります。
先ほどのA社、B社のROEとROICをもう一度みてみましょう。
A社は借り入れがないので、ROEとROICが同じ数値になっています。
でもB社は50万の有利子負債があるので、ROE20%に対して、ROICが10%になっています。幅がありますね。
成長期の会社の多くは借り入れをし、より早く成長を目指す場合が多いので単純に幅があるからよくないとも言い切れませんがROE、ROICの違い、共に関連性をみると企業の状態把握できます。
ROICなどはもちろん自分で計算することもできますが、最近ではネットですぐ調べることができます。
本サイトは米国株に特化しているので、米国株のGuruFocusというサイトでのROIC、ROA、ROEの調べ方をご紹介いたします。
少し長くなりましたので最後にポイントをまとめます。